夫が酒さと診断されました
酒さは、一度発症すると完治することは稀で、悪化因子を避けながら生活をする必要があると言われる、なかなか厄介な皮膚疾患です。
今回は…
- 診断が降りるまでの経緯と、現在行っている治療
- 家族が酒さ治療をするにあたり、やってよかったこと
- 実際に使っているスキンケア
上記を備忘録としてまとめておくことにしました。
標準治療に則った一個人の経験談として、ご覧くだされば幸いです。
書いたのはこんな人▽
スキンケアブランド元美容部員。
関西と関東の店頭で約2万人をカウンセリング。
twitterフォロワー約1.6万人。
自衛官の夫と全国転勤生活中です。
発症してから、治療まで
発症
7月中旬から、自転車通勤を開始した夫。
職場まで15分から20分かけて、通勤していました。
もちろん、日焼け止めもばっちり!
2週間ぐらいした頃でしょうか、ある日仕事から帰ってくると、お酒でも飲んできたの?というぐらい顔が真っ赤に…
もともと、紫外線を浴びるとすぐ黒くなる肌質ではありましたが、赤くなることは滅多にない夫。
更に、夜になるといつも使えていた炭酸ガス入りの乳液が「ピリピリして痛い」と言い出す事態に…
これはいつもと様子が違うぞと、私の皮膚科通院のタイミングで一緒に診察を受けることになりました。
私も引越しのストレスでニキビが大量発生してしまっていました。今はおかげさまで快方に向かっています。
診察
クリニックは、皮膚ナビでヒットした近所の皮膚科へ。
※とてもおすすめのサイトなので、のちほど詳述します!
先生にみてもらったところ、もやもやした毛細血管が肌表面に見えると言われ、紅斑毛細血管拡張型酒さ(Ⅰ型)の診断がおりました。
酒さ自体は患者数がそう多くない疾患ですが、酒さ患者の中では毛細血管がモヤモヤしているのは、非常によく見られる症状なのだとか。
今思えば、このモヤモヤは数年前からあったような気がします。
治療方針
先生から指導された内容は以下の通り
【外用薬】ロゼックスゲル
【飲み薬】特になし
【レーザー治療】フォトフェイシャル(IPL光治療)
【日常生活】刺激の少ないスキンケア、遮光、刺激物を食べない
最初、レーザー治療!?とびっくりしましたが、日本皮膚科学会の酒さ治療ガイドラインによると、夫の紅斑毛細血管拡張型酒さ(Ⅰ型)には各種レーザー治療の推奨度がC1(選択肢の一つとして推奨する)なのです。
レーザー・光:推奨度C1(選択肢の一つとして推奨する)
紅斑毛細血管拡張型酒さに、パルス色素レーザー(595nm),Nd:YAG レーザー(1,064nm,ロングパルス),intense pulsed light を選択肢の一つとして推奨する。ただし、各種機器の特性を十分に理解した上で行うことが望まれる。
紅斑毛細血管拡張型酒さ(Ⅰ型)に対しての推奨であり、丘疹膿疱型酒さ(Ⅱ型)にはC2(現時点では推奨しない)であることにご注意を!
現在は先生ご指導のもと、定期的なフォトフェイシャルで治療をコツコツと続けている状態です。
酒さ治療生活、やってよかったこと
やってよかった①皮膚ナビでクリニック検索
株式会社イシュランという企業が運営しているサイト。
皮膚疾患ごとに治療が得意と思われる医師や医院を検索することができる無料サービスです。
トップページはこんな感じ。
下にスクロールすると、疾患を選択できるメニューがあります。
酒さだけでなく、ニキビなど代表的な皮膚疾患があるのも便利!
試しに、大阪の難波駅近くのクリニックを探してみます
結果はこんな感じ!
一覧表示では、あまり近くない駅の医院も表示されるので、まずは地図表示で検索するのをおすすめします。
皮膚ナビサイトはこちら▼
私のような転勤族は、引越しの度に行きつけの医院をイチから探しなおさなくてはならないので、このようなサービスは本当に便利だなと感じます。
やってよかった②直射日光を避ける
酒さには数々の悪化因子があります。
- 日光、紫外線
- 寒暖差
- 乾燥
- 激しい運動
- 熱い飲食物、入浴
- 香辛料などの刺激物
- 飲酒
出典:日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン、池袋駅前のだ皮膚科「酒さの原因」
夫の場合は、毎日の自転車通勤で悪化したので、徹底的に対策するべくヤケーヌを購入しました。
酒さの診断がおりた夫
— モヨ姐🐳スキンケアブランド元BA (@Moyo_sec) 2024年8月6日
自転車で通勤している夫は、悪化因子とされる「紫外線、高気温、風」の3つに晒されがちなので、物理防御としてヤケーヌを着けてもらうことに
息がこもらなくて快適!と喜ぶ夫を見ながら、「自衛官が使うと特殊作戦部隊みたいになるんやな」と考えている私でした pic.twitter.com/CbNTBnRuoo
これが大正解!
診断がおりてから光治療を開始するまでの間に、鹿児島に一週間滞在。
南国の強い日差しに、酒さが悪化しないか心配していたのですが…
全く悪化せず
なんなら治療開始前よりも、赤みが引いている様子。
日光に対していかに無防備な生活をしていたのか、思い知るきっかけになりました。
酒さ治療中の方は日焼け止めだけでなく、物理遮光も取り入れていくのが良いと思います
夫が使用しているのは、こちらのネイビーです▼
やってよかった③食事の見直し
酒さの悪化因子には飲食物もあります。刺激物・アルコール・熱い飲食物が代表例。
少しでも悪化因子を避けるために、食生活を見直すことにしました。
- 香辛料…大好きなインドカレーやタイ料理。月2-3で食べにいく→診断がおりてからは月1に減らし、香辛料が少ないメニューを頼む。家でもカレーは作らず。
- アルコール…毎週末二人で飲むのが楽しみ→ノンアルビールに切替え
そして、悪化因子のひとつ、熱い飲食物について、心当たりがあったのがコーヒー。
夫は、毎日朝に職場で一杯、休みの日も朝に二杯飲んでいたのです。
そもそも、カフェインは酒さに影響ないの??
疑問に思い、調べた結果、意外な研究にたどり着きました。
コーヒーは酒さに良い?悪い?
様々なクリニックのコラムや医師監修の記事を読み漁ったところ、コーヒーからのカフェイン接種は酒さのリスク低下に関与している可能性があるという記事をみつけました。
カフェインの血管拡張抑制作用・免疫抑制作用が、リスクを低下させていると考えられるのだとか
作用機序や、酒さの型によってどのような影響があるかなどはまだ解明していないので、引き続きの研究が必要とされていますが、
酒さ予防のためのカフェイン制限はあまり気にしなくても良いのでは、とするお医者様もいらっしゃいました。
ただし、熱いコーヒーが赤みを悪化させる可能性もあるので、注意が必要です。
その点を踏まえ、コーヒー大好き夫は一日一杯、少しぬるくなってから飲むことを意識するようにしました。
食事の悪化因子について調べることをしなければ、今も普通の食生活を送っていたと思います。リサーチして良かった!
やってよかった④IPL光治療
医院の先生指導のもと、赤ら顔治療のためにフォトフェイシャルをすることになりました。
日本皮膚科学会の酒さ治療ガイドラインによると、夫の紅斑毛細血管拡張型酒さ(Ⅰ型)には各種レーザー治療の推奨度がC1(選択肢の一つとして推奨する)となっているためです。
レーザー・光:推奨度C1(選択肢の一つとして推奨する)
紅斑毛細血管拡張型酒さに、パルス色素レーザー(595nm),Nd:YAG レーザー(1,064nm,ロングパルス),intense pulsed light を選択肢の一つとして推奨する。ただし、各種機器の特性を十分に理解した上で行うことが望まれる。
この記事を書いている時点ではまだ一回しか行っておらず、正直にいうと赤みに対する効果は感じていないのですが
肌のキメが細かくなり、シミがぽろぽろ取れて美肌になりました(笑)
頬の毛穴も目立ちにくくなって、肌の格が上がったように感じます。フォトフェイシャルすごい…
今後は2-3週間おきに一度の頻度で施術を受ける予定です。
どう変化していくのか、今からちょっと楽しみ&羨ましい!!
やってよかった⑤治療ガイドラインを読む
これまでにも度々出てきた尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン。
日本皮膚科学会が定期的に作成しており、ニキビと酒さの治療における標準治療がまとめられたものです。
標準治療と聞くと、最新の技術や知見が反映されていないのでは?と感じる方も多いようですが…
国立がん研究センターは標準治療を次のように紹介しています。
科学的根拠(エビデンス:あるテーマに関する試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な裏付け)に基づいた観点で、現在利用できる「最良の治療」であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のことをいいます。
つまり、現時点で判明している一番確かな治療方法、ということです。
私は、酒さだけでなくニキビの治療時にも一度はガイドラインに目を通しておくことをお客様におすすめすることがあります。
なぜかというと、
SNSを始めとしたインターネット上の情報に惑わされることがなくなるから。
今回、夫の治療を開始するにあたり、最初にガイドラインを読んでから、皮膚科の先生方が書いたコラムのリサーチを開始しました。
コラムの内容はおおよそ同じなのですが、中には独自の治療法を発信している先生もおられます。
ガイドラインを読んでいたので「これはこの先生の独自の見解なのだな」と納得できましたが、読んでいなければ
先生によって言うことが違う
誰を信じたらいいのかわからない
と、間違いなく混乱していたでしょう。
酒さは型によって治療方法が異なる
夫の診断された紅斑毛細血管拡張型酒さ(Ⅰ型)は、ガイドラインではレーザー・光治療の推奨度はC1(選択肢の一つとして推奨する)でした。
しかし、ぶつぶつとしたニキビのようなものができる丘疹膿疱型酒さ(Ⅱ型)においては、レーザーの推奨度はC2(十分な根拠がないので<現時点では>推奨しない)なのです。
「酒さにはフォト」というSNS上の個人体験談だけを先に読んでしまったら、深く考えず施術を申し込んでしまいそう…
また、レーザーだけでなく外用薬も推奨度がそれぞれ異なります。
ネット上の多様な情報に振り回されないためにも、ガイドラインは読んでおく。
これは取り組んだことの中でも、一番「やっててよかった」と感じました。
どこから情報収集をするかは、酒さに限らずとても大事なことです。
Googleで「酒さ ガイドライン」と検索すると、上位に表示されますので一度読んでみてくださいね。
検索結果▼
酒さ治療中のスキンケア
酒さ治療中は、どのようなスキンケアを使えば良いのでしょうか。
この点については、多くの先生がコラムで残してくださっているので、引用にてご紹介します。
長いですが、どの先生も非常にためになる情報を書いてくださってるので、ぜひ最後までご覧ください。
皮膚科医が薦める酒さ治療中のスキンケア
低刺激性の洗顔料や保湿剤の適切な使用についての指導を選択肢の一つ として推奨する.
引用:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン CQ S4:酒皶にスキンケアは有効か?
順天堂大学医学部 皮膚科学講座 木村 有太子 先生
刺激を感じない保湿力の高い保湿剤を使用しましょう。
塗布するときは、たっぷりと手に取りおさえるようになじませましょう。
刺激がなければ抗炎症作用のある成分が含まれる保湿剤も良いでしょう。
引用:持田ヘルスケア株式会社 酒さ(しゅさ)とは?赤ら顔の症状や原因、治療方法について
小林 智子 先生(こばとも皮膚科)
洗顔は優しく行う(洗顔料を泡立てる、素早く行う、ゴシゴシ洗わない)
セラミドやナイアシンアミドなど、皮膚のバリア機能を改善する成分を取り入れる(ヘパリン類似物質もバリア機能を向上させる効果がありますが、赤みや刺激症状の悪化を認めることも)
あれこれ化粧品を塗らず、シンプルなケアを意識
敏感肌用などの低刺激なアイテムを使う
引用:こばとも皮膚科 酒さ
野田 真史 先生(池袋駅前のだ皮膚科)
毎日保湿をして、皮膚を保護しましょう。セラミドやヒアルロン酸の入った保湿剤は保湿力が高くおすすめです。ナイアシンアミドやアゼライン酸は酒さの炎症を抑える作用があるので、毎日の保湿に追加する成分として推奨できます。
ヒルドイドはヘパリン類似物質という成分が含まれていて血行をよくする効果があるので、酒さ患者様には一般的に推奨されていません。
ワセリンは油分が多く酒さのボツボツを悪化させる可能性がありますので、こちらも一般的には推奨されていませんが、がさがさがメインでぽつぽつが少なく、乾燥が強いタイプの酒さでは効果的なことがあります。
引用:池袋駅前のだ皮膚科【皮膚科専門医監修】赤ら顔(酒さ)におすすめの化粧水は?効果的な選び方について
今井 康友 先生(野田阪神駅前いまい皮フ科)
新ガイドラインでは「しっかり保湿」ではなく低刺激な保湿(スキンケア)を選択するように注意せよ、という記載になりました!
何種類も保湿剤を重ねて酒さを悪化させる方が多いため、当院では肌断食をするか、低刺激の保湿を最小限使用する程度にとどめるようにお話しています。
引用:野田阪神駅前いまい皮フ科 クリニックコラム 酒さの治療:洗顔料と保湿剤の選択(酒さガイドライン2023)
弓削 俊彦 先生(宮崎県宮崎市 ゆげクリニック)
過剰なまでに保湿化粧品を使う方がいらっしゃいますが、接触性皮膚炎を起こしたり、油分の高いクリームなどを使いすぎてニキビを併発したりする方も見られます。酒さの方は、少なくともアトピー性皮膚炎のように強い乾燥を起こすことはありません。むしろ酒さの方の皮膚はとても敏感になっていますので、多少の乾燥を感じてもあまり不安にならず、なるべくシンプルなスキンケアを心掛けましょう。
ヘパリン類似物質含有のクリームなどを使われている方もいらっしゃいますが、その血管を拡張させる作用でより赤ら顔が強くなったり、クリームの油分でニキビ様の丘疹を生じることがあります。
できるだけ油分を多く含まない化粧水や乳液、保湿ジェルなどを使用する方が安全と考えます。
クレンジングを必要としない程度のメイクにとどめるように心掛けましょう。
引用:ゆげクリニック 院長ブログ 酒さにおけるスキンケア
まとめるとこう。
- 低刺激性なもので保湿
- アイテム数は増やさず、シンプルに(モヨ注※基本は1-2アイテム、どんなに多くても3アイテムまでだと思います)
- 洗顔時、スキンケア時の摩擦に注意する
- 油分を多く含まないもの
- ヘパリン類似物質は避ける
- 抗炎症成分、バリア機能を維持する成分
バリア機能を維持する成分と聞くとセラミドを思い浮かべがちですが、肌質と商品の相性によってはぬるぬるして使いにくいこともあります。
私自身は皮脂が多い肌質の人に、セラミドが主訴のスキンケアをおすすめすることはあまりありません。
混合肌タイプの人に、冬~春のスキンケアとしておすすめすることはあります。その場合も、Tゾーンや顎など皮脂が多い部分にたっぷり塗るのは避けるよう、アドバイスさせていただくことが多いです。
そもそも、バリア機能はセラミドだけで構成しているのではないんですよね。
成分はあくまで参考程度にして強く囚われることなく、柔軟に商品探しをするのが良いと思います。
それでは、実際に夫のためにどんなスキンケアをチョイスしたか、ご紹介していきます!
実際に使っているスキンケア
クオリティファースト ダーマレーザー スーパーAZ100ローション
- アゼライン酸:肌荒れを抑え、すこやかに整える
- ナイアシンアミド:うるおい、ハリ、ツヤを与える
プチプラ界ではおなじみのクオリティファースト。
こちらは皮脂トラブルケアに特化したもので、アゼライン酸は皮脂が気になる人は積極的に取り入れたい成分として最近非常に人気です。
夫は皮脂がやや多いタイプなので、普段はビタミンC入りのスキンケアを使用していましたが、ビタミンCでは刺激が強いかなと思い、スーパーAZ100に切替え。
特に刺激感などもなく、快適に使えています。
アセライン酸も濃度によっては刺激になることがあります。一般的に広く流通しているコスメなら問題ないと思いますが、通販専売品・海外製品・カウンセリング商品はその限りにありません。ご判断は慎重にお願いします!
ビタミンC入りスキンケアは、溶剤の影響でヌルヌルした使い心地のものが多く、ビタミンCを取り入れたい脂性肌の人ほど不快に感じやすいというジレンマがありましたが、
AZ100ローションはとてもみずみずしくて、サラリと素早くなじむ使い心地。快適に使用できました。
乾燥しやすい人も、春~秋にかけて使いやすいと思います。
※冷えやすい梅雨の始め頃は物足りないかも…
トリデン ダイブイン スージングクリーム
- ヒアルロン酸Na、トレハロース:共に保湿成分
韓国コスメのトリデン。大きいスーパーの化粧品コーナーでも見かけるようになってきましたね。
こちらは、個人的に大好きな保湿成分トレハロースを配合。うるおいに満ちた肌を目指すことができます。
乾燥によるぽっかり毛穴が気になる人や、油分が多い保湿アイテムではヌルヌルして使いにくいという人におすすめ。
肌状態があまりよくない時は、これ一つでスキンケアを終えることもできそうです。
仕上がりもベタベタやヌルヌル感はなく、さらりとした感触でした。
乾燥肌さんの真冬のスキンケアとしては物足りないかも。居住環境と他のアイテムとの組み合わせ次第ですね。
冬の日本海側へ旅行する時に持参して実験してみようと思います。
この他、検討したスキンケアブランドは以下の通り
上記ブランドを購入しなかったのは家の近くに実店舗がなかったからで、ネガティブな理由は特にありません。私が出不精なだけです。
まとめ
- 酒さ治療ガイドラインを一度は読み、ネット上の多様な情報に惑わされないようにする。
- 遮光が非常に重要!日焼け止めだけでなく、物理遮光も併用すること。
- 食事に関する悪化因子が多い点に留意。食生活から気を配る。
- スキンケアは低刺激なもの。ヘパリン類似物質や、油分の多いスキンケアは避け、シンプルケアを意識する。
酒さは一度発症すると、管理の大変な疾患ではありますが、お医者様と二人三脚で向き合って悪化因子を避けることが非常に重要だと感じました。
酒さでお悩みの方へ、少しでも参考になれば幸いです。
最後までご覧くださり、ありがとうございます!